
横浜駅
横浜の陸の玄関口。
明治5(1872)年京浜間
に開通した日本最初の
鉄道の駅舎。
現在の桜木町駅所在地。
明治10年(1877)頃。
臼井秀三郎撮影。
人工着色。
横浜開港資料館所蔵
ごあいさつ
明治時代について語る際に用いられる「文明開化」「近代化」「西洋化」といった言葉には、厳密に考えれば、それ以前の日本は「未開」であり「前近代的」であり、その文化は西洋より劣っていたことを認める、いわば自虐的な意味が含まれています。しかし、これらの言葉が使われる時、そういった翳(かげ)りはほとんど感じられません。思えば太古の昔から、日本人は外来の文化を摂取することで自分の文化を豊かにしてきたのでした。長い目で見れば、文明開化もそのプロセスの一つなのかもしれません。
立ち入って観察すると、文明開化は確かに西洋文化に学びつつ、政治・社会制度や生活スタイルを変革する運動でしたが、けっして西洋一辺倒でもなければ、まるごと自己否定でもなかったことに気付きます。西洋から真っ先に取り入れたのは、電信・鉄道・建築など、主として技術の分野でした。生活の分野では、摂取はより選択的であり、緩やかでした。在来の文化を捨てることなく、外来の文化と組み合わせる、したたかな知恵を見て取ることができます。
9月14日から当館で開催する企画展示「写された文明開化―横浜・東京・街・人びと―」では、横浜と東京に出現した洋風の建物や施設とともに、「明治の人びと」のコーナーを設け、在来の生活を捨てることなく新時代に適応して生きる人びとのバイタリティーも紹介します。また、展示に合わせて出版する『文明開化期の横浜・東京―古写真に見る風景―』(有隣堂刊)では、鎌倉や江の島、箱根、東京の社寺など、「古き日本」を感得させる景勝地として、「若き日本」と共存する役割を得た地域の写真も収録しました。
展示と出版を通して、変革のさなかにあった時代の風景と人びとの表情を、トータルに理解していただければさいわいです。