横浜都市発展記念館

ハマ発 NEWS LETTER
  • ミシン・タイプライター

ミシン

タイプライター

−思い出とともに−

今回は、当館の新収資料のなかから、ミシンとタイプライターの2点を紹介します。

ミシンはアメリカ・シンガー社製の足踏みミシンで、いわゆるシンガーミシンとして親しまれたものです。日本では明治の末から、シンガーミシンの輸入・販売が

おこなわれていました。このミシンは、製造番号から1926年にスコットランドのクライドバンク工場で製造されたものとわかります。

タイプライターは、アメリカ・レミントン社製の英文タイプライターで、これも製造番号から1926年製と思われます。同社は、1874年に世界初のタイプライターを販売したことで知られていますが、私たちが普段お世話になっているパソコンのキーボードのキー配列も、同社のタイプライターから始まったものです。

これらの資料をご寄贈くださった保土ヶ谷区在住の大倉文雄氏・禮子氏ご夫妻からは、資料にまつわる思い出を語っていただきました。資料とあわせて紹介いたします。時代とともに歩んできた資料の来歴もまた、資料に刻み込まれた歴史的価値のひとつだからです。

(青木祐介)

第6号 2006年5月

シンガー社製ミシン

疎開して空襲を逃れたミシン

昭和の初め、父が母と結婚する際贈ったシンガーミシンです。当時、日本で手に入る中では最高級品で、数台の中の一台だったと聞いています。

昭和19年、住んでいた家が建物強制疎開のため立ち退きを余儀なくされ、母は父からもらった大切なミシンを、何とかして残したいと思ったようです。ところが戦時中は貨物を送るのは困難だったので、私が従兄弟と二人で父の郷里(山梨県四方津(しおつ))に運ぶことにしました。たいそう重いので金属部分は分解し、大きいものは見つからないようにして列車に載せ、二度に分けてなんとか運ぶことができました。

その後、私たちが住んでいた借家は大空襲で焼失してしまい、わずかな荷物が残っただけでしたが、苦労して田舎に運んだミシンは焼失せずにすみました。

(大倉禮子氏談)

第6号 2006年5月

レミントン社製

タイプライター

(いずれも写真提供:

土肥原洋美氏)

アルバイトの友だったタイプライター

このタイプライターは、私が戦後間もなく中古で買ったもので、中古品といっても当時は輝くような新鋭機だった。

当時、私は旧制高校の学生で、学業に使うよりもアルバイトに使う方が多かった。当時の学生アルバイトの一つに謄写版印刷があり、主として大学のゼミの教材を作成した。原本が手に入らないので、原紙をタイプでたたき、謄写版で複製した。なかには数百ページの教科書一冊まるごと複製というものもあった。こうなると一人では到底間に合わない。タイプを持っている友人を仲間に入れて製作した。

謄写版印刷は結構繁盛した。おかげで大学受験には二人とも失敗して浪人したけれど。タイプをまともに学業に使ったのは大学に入ってからで、卒業論文が英語だったので、このタイプは大いに活躍した。

(大倉文雄氏談)