- 「掘り出しものコーナー」より 都市シリーズ(その1) 神戸
―「掘り出しものコーナー」より―
都市シリーズ(その1) 神戸


吉田初三郎
「大神戸市を中心とせる名所鳥瞰図絵」
(昭和5年) 当館蔵
吉田初三郎「横浜市鳥瞰図」
(昭和10年) 当館蔵
当館4階の常設展示室の中央に「掘り出しものコーナー」があります。ここでは新しく収集した資料を紹介したり、3階の企画展と連動したミニ展示を行ってきました。
今年度からは「都市シリーズ」と題して、当館で所蔵する横浜以外の都市の歴史資料を連続して紹介しています。当館の所蔵資料は横浜以外に他地域のものも含まれています。それらをメインにして企画展を組み立てることは難しく、これまでなかなか紹介の機会がありませんでした。
4月から6月30日まで「都市シリーズ(その1)神戸」を開催しました。7月1日から9月30日までは「同(その2)大阪」を開催しています。
神戸は横浜とともに幕末の開国の後、開港場となり、国際・貿易・港湾都市として発展しました。近代を通じて今日に至るまで、貿易・経済の分野だけでなく、観光・ファッション・文化などさまざまな面で、神戸と横浜はライバル関係にあります。
また、大阪は東京に次ぐわが国第二の都市として日本の近代をけん引してきました。大正末期から昭和初期にかけては、市域拡張が先行した関係で、大阪市の人口が東京市を上回り日本最大の都市となりました。現在では横浜市の人口をも下回りますが、この時代、大阪は近代都市として最も輝きました。
このページでは、「都市シリーズ(その1)神戸」で展示した資料の一部を紹介します。
明治前期の神戸の地形図
(仮製2万分1地形図「神戸」(明治18 年)「兵庫」(明治19 年)他に文字加筆)
幕末の修好通商条約によって開港が決定したのは兵庫だったが、1868 年、実際に開港し外国人居留地が設けられたのは神戸だった。兵庫と神戸の関係は、神奈川と横浜の関係に似ている。
「神戸市案内絵図」
(昭和5年頃、部分)
昭和初期の神戸のまちを俯瞰(ふかん)して描いたイラストマップ。「しんび堂刊」とある。当時はこのような印刷物がさまざまな絵師により各地で多数作成された。

1 神戸の市街地上空
(文字加筆)
神戸の市街地は南北を海と山にはさまれ、東西に細長く発達した。


2 神戸港のメリケン波止場
明治時代、神戸港の中心となった波止場。「アメリカ」がなまってこのように通称される。横浜港の大さん橋も「メリケン波止場」と呼ばれたことがある。
3 新港突堤
大正時代に整備された神戸港の中枢部分。横浜港の新港ふ頭と同じく、鉄道との連絡機能が重視された。


4 繁華街の元町通り
デパートや高級品店の集まる神戸の中心商店街である。東京の銀座や横浜の伊勢佐木に対して元町をぶらつくことは「元ブラ」と言った。
5 栄町通りを走る神戸市電
栄町通りには銀行や会社の事務所が集まり、ビジネス街が形成された。市電の線路も敷設されて、横浜では本町通りに相当する。


6 湊川公園と新開地タワー
天井川の湊川の付け替えにより旧流路跡には公園が整備された。新開地タワーは神戸のシンボル的なタワーだった。
7 盛り場・新開地
湊川の旧流路跡には映画館などの娯楽施設、飲食店や商店などが集まり、「(湊川)新開地」と呼ばれる盛り場も形成された。


8 高架工事中の東海道本線
細長い市街地を東西に縦断する東海道本線の線路は市内交通を遮断していた。大正時代に高架化が決まり、昭和初期に工事が完成する。
9 阪急神戸駅を出る阪急電車
阪急の神戸駅(現・三宮駅)は、地下か高架かでもめた末、昭和11年ようやく高架駅として開業した。左は東海道本線三ノ宮駅のホーム。
出典
1〜8
:『日本地理大系7近畿篇』改造社(昭和4年)
9
:『神戸市内高架線史』阪神急行電鉄(昭和11年)
(岡田 直)
リレー展示解説
常設展示の一部と掘り出しものコーナー「都市シリーズ(その2)大阪」を当館調査研究員が解説します。
日時
第1回
7月3日(土)文化分野
各 回
13時30分〜
第2回
8月7日(土)建築分野
第3回
9月4日(土)交通分野
参加費
無料
(ただし常設展示入館券が必要です)